「日伊文化交流会2001(Scambio Culturale Giappone-Italia
Forum 2001)〜東京・ローマ友好都市提携5周年記念〜」(主催・NPO地球文化交流会)が4月22日、イタリア・ローマ市内で開かれ、日本からの一行26人はイタリア市民ら約200人と芸能・武道を通じて交流に花を咲かせました。
この日に合わせて、日本からは美剣体道の範主でもある河野喜一理事長、板橋里神楽家元、萩原正義さんを筆頭に美剣体道と里神楽を中心に結成された交流会メンバー26人が訪伊。
交流会ではまず、在イタリア日本大使館の渡辺博氏がイタリア語で挨拶。河野理事長が「私はイタリアへ幾度も足を運んでいますが、イタリア人は世界の中でも人間性の豊かな民族だと実感しております。一方、日本の文化は仮面のような心です。本当の心は見せないのでわかりにくい。悲しい人のことを見ると本当は悲しくないのに自分も悲しくなってしまう、そういったところがあります。そういった日本の文化の一面を理解して長くつきあっていただきたい」と述べました。
続いてローマ大学で日本の古典文学について教鞭をとるアンドレア・マウリッツィ教授が講演。マウリッツィ氏は、1985年に日本の奨学金を得て京都に一年留学、その後89年から3年間、東京で外語大学で勉強をする傍ら
、NHKなどでイタリア語を教えその後東北大学のイタリア語講師として仙台に5年半滞在した経歴の持ち主。
そうした日本滞在を持つ立場からすると、イタリアで一般に語られる日本の印象は表面的で、日本人が知れば怒りを覚えてしまう紹介でしかないと批判。マウリッツィ氏は、日本での体験を語ることで日本への興味を正統な形で培ってもらえればと、三都市での滞在を通じて感じた世界・印象などを披瀝した。 |
また、河野理事長が美剣体道の演武を交えて講演。まず、美剣体道の原点、一位流合気古武道について、「流派が生まれる以前の武道で、技に名前もなく自然体で生まれます。どのようにして技が生まれるのかお見せします」と前置きした上で、「人生と同じで自分の姿勢を崩さず真っ直ぐ前に行きたいと思ったら、何が来ても断固として真っ直ぐ歩いていく、その中で技が生まれるのです」と語り、行く手を刀を振りかざす相手が立ちはだかる際や両手を掴まれたとしてそれをかわしていく技の極意を披露。「人間が生きていく上で役に立つ武道、これを教えてくれた日本の国に私は感謝します」と結んだ。
板橋の伝統芸能「里神楽」の紹介では、まず相模流家元の萩原氏が身につけていたハンテン、腹掛けなどについてユーモアを交えた説明。里神楽は、演劇的要素に太鼓、笛などの音楽的要素を加えた江戸時代から伝わる民俗芸能であると解説した後、獅子舞、山形県に伝わる花笠音頭、青森県に伝わる俵積み歌の民俗舞踊と民謡、古典舞踊を現代風にアレンジした新舞踊、そして「福徳の舞と宝授」を披露。
唐草模様の衣をまとい、歯をパクパクと動かしながら頭を上下に大胆に動かしながらリズミカルに動く獅子の動きに、会場はフラッシュが光った。また、富の神といわれ、金ぴかのいで立ちとやや強面の大黒天が威風堂々の登場、そして、従者の下ぶくれのおかめ、素っ頓狂なひょっとこが太鼓の音と笛の音に合わせて踊る。最後に三人は参加者の中に入り打ち出の小槌から取りだした“宝”を一人一人に手渡すと、イタリアっ子もはにかんで手に取っていました。
一方、この日午前中は、美剣体道の公開稽古です。50人ほどが参加、理事長らから直々に手ほどきを受けていました。また交流会の最後には、立食形式のミニパーティーも開店し、参加したローマ市民との交流が大にぎわいでした。 |