1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2010
1 3 4 6 7 9 特別 12

■NPO地球文化交流会


河野喜一理事長

 ここに掲げる写真の一人が私で、もう一人が中国山東省文化庁副庁長、章永順氏である。
 地球上に人類が発生した。
 やがて民族が分かれていった。
 世界中に国家が誕生して現代に至る。
 何百万年かかって今の世界が構成されたものであるのか誰も知らない。
けれど、世界と民族と人類が、一人で生きられないことは誰も知っている。
今、世界中が何らかの形で戦っていない国はないのだが、その争いの根源は、たった一つ次の言葉に尽きよう。
 『相手が私の事を理解しない!』
これ一つが争いの種子になっている。
私は思う。
相手を知ることは不可能に近い。
 それよりも一番大切なことは“自分を知ると言うことであろう”と。
 私は私なりに「心」を求め続けた。
 私の人生は「心を求める旅人」であった。

 心を求める旅で私は、私の生まれた国に国の心が存在することを知った。
日本国に日本国の心があり日本民族に日本民族の心が存在すると知った。
その頃、中国から日本国へ移住し、大学校で中国語の教鞭を執っている詩人を知り、さらにその人の詩友の一人、章永順氏の存在を知った。

 見えない糸が中国と日本国に結ばれている。
その糸に引かれ昔から中国へ留学する者が続いた。そして、それらの人々が中国の心を日本人に伝えてきた。
江戸時代の武士道を養った「儒教」は中国山東省の人「孔子」によってその教訓をはじめてもたらされた。
かく言う私は、若年の頃、日本に伝わる古武道の一つ、「一位流合気古武道」を体得しているが、古武道精神は純粋な日本の心であると確信する。

 山東省に数ある大学の中から 章永順氏の紹介によって、私の話を聞いてくださる学校が次々生まれた。
山東省芸術学校が振り出しで、烟台芸術学校、渮澤芸術学校、済寧芸術学校、臨沂芸術学校、泰安芸術学校、聊城師範学院、等に心の友ができた。

 また、山東省内の各武術協会との武術交流会が展開し、宗江武術院をはじめ各地の武術協会の主催する歓迎武術大会に出席参加することができた。

 その中で私は日本の武術の粋を見せようなどと思わなかった。
 ひたすら「中国の心」を知ることに努めた。
 今まで知ることのなかった中国の心が、中国武術中にこそその精華を伝えているものと信じていた。
 武術家の一人ひとりと手を握り目を見交わすとき、私の血脈に中国民族の心が伝わってくる。
また、拙い私の話に心を傾けてくれる学生達には、中国伝統の精神を地球上に普く及ぼすことを求め続けた。

 地球文化交流会と言う、地球文化は地球の心であろう。地球の心が世界中の民族の中で花を咲かせる時代が訪れたら、どんなに素晴らしいことであろうか。
私は地球人の一人として、「地球の心」に触れる喜びを持つ。世界中の民族の心に触れたいと思う。

 今回開催された中国山東省文化芸術写真展は、意義深い行事と思う。写真は芸術であろう、けれど、そこに写る光景は、一つひとつ間違いなく心を持っている。
 写真の一つひとつに私の心で掌を合わせたい。
 写真が必ず私の心に応えてくれると信じる。
皆様方も、どうか、この写真にあなたの思いを伝えてほしい。

紀元二〇〇〇年十一月嘉日

写真=河野理事長と談笑する章永順山東省文化庁副庁長(左)。 右端は、李泰安副市長